今治プリント捺染型のお話し

20年〜30年前の製造の説明です。本業のお話です。(少し細かい説明になります)

タオル用捺染型枠製造

タオル屋さん、プリント屋さんからタオル用の図案をあずかり、プリントに使用する色別にスクリーン型枠を製造する仕事です。

型紙切り抜き製版→ポジフイルム製版→ダイレクト製版

型紙切り抜き製版

型切り抜き用の薄いが丈夫な防水紙(シブ紙)と呼ばれていた紙を色別に柄に合せて切り抜き木枠フレームに、
細かい網目の布を張り、網に紙を防水のりで貼り付けスクリーン型枠を製造していました。細かい柄は切り抜きが難しく、
色別の位置合わせが難しくかなりの技術が必要で、簡単な柄しか加工できませんでした。
当時はインク定着用のりの滲みが激しく色と色の境目が滲んでプリントも難しい作業のようでした。

当時切り抜きに使用した道具です。(現在仕様)

ポジフイルム製版(シルクスクリーンの技術を応用した製造です)
京都、西陣地区型染め技術に今治独自の加工をして製造していました。

図案をもとにプリント屋さんから依頼された色別に、ポジフイルムを製作します。(柄の主流は花柄でした)
濃色、中色、薄色、三段階に色の濃淡を付け、花、葉、茎を表現できるようになりなした。
ひとつの図案で、花3色、葉3色、小花2色のような表現方法で6色〜10色程度のスクリーン型枠を製造していました
定着のり進歩により、インクが重なっても色が滲まないようになりました。
ハンドピースだけで描いた物、筆だけで描いた物、タオルのインク吸い込み滲みを考えながら加工を加えていました。

下写真は、ハンドピースと筆を使って描いています。
濃い色(ポジフイルム見本) 中色           薄 色

当時は、手描きが主流でタオルの大きさのフイルムに写真の道具を使って描いていました。
幅約180センチの透明ロールフイルムを、タオルケットの大きさに切ってその上に柄を描いていました。
それ以上のダブルのタオルケットなどの大きさの透明フイルムもありました。


ハンドピースは、粒バラ吹きからブラシ吹きまで対応できる優れた製品です。
筆も腰がありポジフィルム描きのハネ表現には欠かせない物です。(見本写真後日アップ予定)
残念な事に、現在では生産されていません。(後継者いないらしい?)

その他の道具

macG3販売開始と共にパソコンによるポジフイルム製作が可能になりました。
色の選択範囲やドットの大きさなど滲みに対応させるのがとても難しく試行錯誤をくり返し加工していました。
当時はA3サイズ設備しかなく大きな物は、フィルムを継ぎ合せて製作していました。

下のポジフイルムはmacで編集したものです。
濃色(ポジフィルム見本)  中色           薄色

製版行程 

タオルの大きさに合せた、型枠フレームに網目の布(紗)をボンドで張り付け、網目の布に感光剤を塗り乾燥させた柄無し型枠に柄を付ける作業をおこないます。
感光剤は光に反応し固まります。光源と柄無し型枠の間にポジフイルムを挟み影を作り感光剤の固まりを防ぎ、水洗いにより柄を作ります。
乾燥させて補強剤を塗り完成です。

ダイレクト製版

パソコンで編集した柄をポジフイルム無しでダイレクトで型枠に柄を付ける事が可能になりました。ポジフイルム製作が必要なくなりました。
編集時、色の重なりが少ない図案編集はかんたんにできますが、色の選択範囲やドットの大きさなど滲みに対応させるのがとても難しく経験が必要になります。
紹介したプリントは20数年前の事で、現在ではインク、定着のり、その他の材料、機械の進歩により確実に良い製品が出来ていると思います。

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